レオ・ヌッチ氏は超人
レオ・ヌッチ氏は現代のヴェルディ・バリトンと呼ばれていますが、声帯の強さだけは誰にも負けません(笑)。
私が言う「超人」は息の勢い任せに歌ってもほとんど声帯が壊れない人のことを言います。
逆に、「凡人」は息の勢い任せに歌うと声帯が乾燥してすぐに歌えなくなる人のことを言います。
私は凡人なので、真似したらすぐ喉を潰します。
明らかにモダン歌唱。
顔の表情と息の勢いで歌っています。
レオ・ヌッチ氏は超人
2年前のマスタークラスの動画ですが、75歳にして、あの発声で歌い続けられるのは超人レベルです。
ある意味尊敬します。
発声練習で眉間に当てましょうと言っていますね。
あんな動きながら歌っていますし、猫背のまま歌っています。
合唱でこんな指導ありますよね?
- 喉に力を入れないために、体を動かしながら発声したほうがよい。
- いい声はいい表情から。
- 呼吸がしっかりできれば、発声はマスターできたも同然。
そういう指導を声楽でも当たり前のようにしています。
するとどうなるか?
ホールで歌うと全く聞こえません。
マイクに頼らないと歌えなくなります。
歌っていると、息が徐々に太くなって最後には歌えなくなります。
そりゃ息の勢いで歌い続けていれば、声帯が乾燥します。
正解は、息の勢いが声帯に直接当たらないように、首の筋肉の力で守るのです。
喉や首まわりの筋肉を鍛えるのが先です。
いちばん声を出すところに密接にかかわる部分ですから。
そこを鍛えずして、いい声出そうと思っても無駄です。
超人であるがゆえに
レオ・ヌッチ氏は超人であるがゆえに、喉や首周りの筋肉を鍛えることを理解できていないまま、その指導を他人にもしてしまっています。
日本の合唱でもよく見かけるような、鼻や眉間に当てましょうという指導しかできません。
モダン歌唱と黄金期歌唱を比べてみましょう。
現在の声楽でエットレ・バスティアニーニのような声を出すと強すぎるといわれます。
でも、バスティアニーニのようなしっかりした声でないと、ホールでまともに声が届きません。
声が届いてこそ感動を生むものです。
声が届いてこそ風情です。
まずは声そのものを鍛えなければ話になりません。
声の枠組みがしっかりできてきたところがスタートラインです。
現在の歌手はある程度著名な歌手も含めてほとんどが、スタートラインにすら立てていません。
ヌッチ氏をお手本にしてはいけません。
凡人はすぐに喉を壊します。