今の日本は、ガチョウを殺して黄金の卵を直接とろうとするシステム
イソップ寓話にある、「ガチョウと黄金の卵」のお話を見てみましょう。
昔、ある田舎者がいました。この男は想像もできないほど素晴らしいガチョウをもっていました。というのは毎日巣に行ってみると、ガチョウは美しくキラキラする金の卵を産んでいたからです。
田舎者は市場に卵を持って行き、じきに金持ちになり始めました。しかし、ほどなくして男はじれったくなりました。というのはガチョウは一日にたった一個の金の卵しか産まなかったからです。男はもっと早く金持ちになりたいと思いました。
そこである日、男はお金を数え終わったあと、ふと、(ガチョウを殺して切り開いたら、一度に金の卵を全部とりだせるぞ)と思いました。
しかし、やってみると、金の卵は一個も見つからず、大事なガチョウは死んでしまいました。
今の日本は、ガチョウを殺して黄金の卵を直接とろうとするシステム
今の日本の話によくあてはまります。
昔はじっくりと職人を育てていきましたが、経済が豊かになってきました。
その影響でもっと高速なシステムが作られるようになると、人々は急かされるようになります。
その結果、人を育てるシステムは消えてしまうことになります。
それでも世界は待ってくれません。
黙っていたり立ち止まっていたりしたら、その場から取り残されてしまいます。
かといって設備投資するお金もありません。
社員を教育する時間もありません。
禁断の手「ノルマ」
企業は利益を上げるために、四苦八苦しています。
あせった経営者はある「禁断の手」を思いついてしまいました。
それが、「ノルマ」という方法です。
目標の個数に届かなかったら、その分を自腹で払うという方式です。
社員たちは売れなかったり新規契約できなかったりしたら、その分自分が支払わなければなりませんので、必死になって働きます。
必死に働いた甲斐があって、莫大な利益を生みました。
だけれどもそれも限りがあります。
ノルマに届かない地獄
すぐに目標の個数に届かなくなりました。
ここからが地獄です。
売れ残りがまだ少なく、社員たちが少しだけ自腹を切れるときは、「ま、いいか」で済んでいました。
しかし、売れ残りが多くなるに比例して、社員たちの自腹を切る分も多くなりました。
どうしても手持ちのお金が足りない社員が経営者に相談しました。
すると経営者はその社員にとんでもないことを口にしました。
「借金してでもノルマの分を埋めろ」
と。
その社員は気が弱く、経営者の言われるがままに従いました。
会社の帰りに消費者金融で借金してノルマの分を埋めました。
ほかの社員も借金してようやくノルマに届きました。
そして1年後、社長は目標達成と万々歳ですが、社員の顔にはもちろん覇気はありません。
社員たちは借金に借金を重ねて、返済だけを考える毎日。
この会社の末路
社員から労働基準局にノルマのことを密告され、すぐに調査が入りました。
結局、この会社はつぶれることになりました。
経営者も会社を追われることになり、同じような企業の社員として働いてこき使われたのでした。
最後に
私の完全なる独断と偏見で構成された創作です。
でも日本の社会って、いつから人を使い捨てるシステムに変わったのでしょうか?
郵政民営化あたりからでしょうか?
それまでは社員を育ててようやく使い物にするシステムだったのが、会社独自でしか使えないルールを押し付けて、さらには社員すらも利益追求のための道具として搾り取るようになったと感じております。
ノルマに満たなければ、社員からお金を吸い上げるシステム。
例えば、昔は朝の7時から夜の11時までだけ営業したコンビニエンスストアですね。
同じ形が隣同士に建っているところもありますよね?
ドミナント経営は社会の癌だと思っています。