ヴォーカルアンサンブルEST 第31回演奏会

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久しぶりに三重県津市に来ました。近鉄に乗る機会は今のところこれぐらいしかありません。2021年に来て以来全く三重県にすら足を踏み入れていないですね。

それくらいご無沙汰だったのですが、津駅近くはそんなに変わっていませんでした。ちなみに、私の住んでいるところは団地の解体工事だったり、昔の民家がいろいろなくなったりしていますね。久しぶりに来たわりにはあまり変化がなかったという印象です。

ESTの演奏会に3年ぶりに来ましたが、演奏のクオリティは全然変わっていません。素晴らしかったです。練習見学も行ってみてもよいかもしれません。私は愛知県民なのですごくアウェイ感がありますが、むしろそれを楽しむぐらいです。一応合唱の経験者なんですが、どちらかというとピアノを演奏する人間なので、部外者な感じがあります。

まあ、そんな前置きもほどほどにして、今回の演奏について感想を語りましょう。
私の知らない曲ばかりでよかったです。当たりですね。

第1ステージ:世界への祈り

Josquin des Prezの「Ave Maria」から始まりました。宗教曲はESTの強みです。こういう古典的なのがよいですね。掴みとして完璧ですね。ハーモニーもしっかりしてますし。それぞれの曲について語りましょう。

Ave Maria(Josquin de Prez)

透明感のある声で始まりとしてしっかり歌えていたのが素晴らしかったです。聴くのを楽しめましたね。始まりはこういう古典的な曲のほうがよいかもしれません。

Gloria(Einojuhani Rautavaara)

1小節ごとに調性が変わるのですごく忙しいですよね。ピアノでもなかなか大変なのに合唱だと尚更です。どのパートも偏りがなくしっかり聞こえるのがよかったのですが、歌詞が聞こえにくいところが玉に瑕です。

Gloria(Paul Hindemith)

また、Gloriaです。これも結構忙しい感じの曲調ですね。最初のほうはよかったのですが、最後のほうになるにつれて声量が少し落ち気味だったように聞こえます。少し疲れてきたのでしょうか?まだ第1ステージだけど、プレッシャーもありますからね。

第2ステージ:日本のうた 今昔

日本の歌をいろいろな編曲者で歌うのですが、やはり作曲家のクセがもろに出ますね。作曲する上での音型の使い方は、その人自身を表すと言うか聴いているだけで誰が編曲したかわかるぐらいです。おそらく編曲者が伏せられていても、曲調の感じでなんとなくわかりますね。

花取踊(愛媛県民謡、西村英将編曲)

打楽器の響きがいいですよね。お祭りの雰囲気がしっかり出ています。この音が聞こえると条件反射で思わず足を運びたくなります。祭りの様子を見物して、日本酒を少し飲むのも悪くないでしょう。こういうときぐらいはハメを外したいですよね。
と、私の祭りに対する考えは置いておいて、合唱のよさも失われないので、バランスの良い編曲をしていますね。最後は背を向けた理由は何でしょうね?いまいちよくわかりません。

のよさ(合唱のための12のインヴェンションより、間宮芳生編曲)

長野県下水内郡栄村の「のよさ節」をもとにしているそうです。軽快な曲調ですが、祭りというよりはエチュード的な音型に変わっていますね。エチュード感をしっかり表現できていてよかったです。祭りっぽさを極力排除している印象です。たぶん私の偏見ですね。

伊勢木遣(土田豊貴編曲)

「いせ-きやり」と読みます。伊勢神宮で御神木を運ぶときに歌われる民謡だそうです。これも編曲があまりよくないのか、あまり祭りの感じが出てきませんでした。歌声自体はパワフルでいいのですが、編曲一つで印象がガラリと変わりますね。

鬼滅の刃メドレー(首藤健太郎編曲)

どwうwしwてw法w被wをw重wねw着wさwせwた?!!wwww
一時期アニメで大人気だったあれですね。私はあまりよく知りませんが、妹が鬼に変えられたぐらいしかわかりません。
「紅蓮華」→「竈門炭治郎のうた」→「炎(ほむら)」の順番にメドレーになっています。
原曲と違って、宗教曲っぽい感じがよいですね。これもまたよいですね。なんだろう、声の限界に挑戦している感じがしましたが、それを難なくこなしているように聞こえるのはさすがESTの実力といったところでしょう。
そもそも原曲をあまり聞いたことがないのは内緒。

第3ステージ:工藤直子の詩による混声合唱曲集「みえないことづけ」(三宅悠太作曲)

ここ10年ぐらいで三宅悠太さんもまた合唱の作曲家として有名になってきましたね。木下牧子さんが一番有名ですけど、三宅さんのもまた全部を通して優しい曲調ですね。初めて聴きました。ESTさんの歌声にも合っていますね。

あいたくて

「誰かにあいたくて」で始まりますね。どのバージョンでも、確か相澤直人さんのも「誰かにあいたくて」から始まりますね。「みえないことづけ」はこの「あいたくて」の一節です。知らず知らずのうちに誰かに託している印象でしょうか。
合唱団は流れるように歌っていますが、伴奏がいまいちパッとしません。かみ合っていない印象でもどかしかったです。もう少し強く打鍵してもよかったです。

さがして

一瞬記憶が飛んだのかと思ってビックリしました。そういえば、この休符のパターンはショパンのノクターン第9番(作品32、1番)でも出てくる形なのを思い出しました。急停止する感じです。
まったりした曲調です。星空を眺めるのですが、別にお酒を飲まなくてもいい感じですね。ただただ星空を眺めるだけ。そんな感じの表現だったと思います。優しい歌声で少し心地よくなりましたね。
何もせず星空だけを見るのが、いい感じです。決してSNSには投稿せず、自分の記憶だけに収めるという感じでしょう。「さがして」という割には、自分の殻に閉じこもっているのもなんか矛盾していますが、自分探しの旅と思えばそんなに矛盾は起きないでしょう。ま、知らんけど。

いのち

ぼやけた印象になってしまったのが残念。いくら優しい音色だとは言っても、楽に流してしまってはいまいち締まりがなくなってしまいますね。歌詞の意味を少し考えすぎたのかも。

そばにいる

すごく懐かしい感じのする曲調。ESTの雰囲気とマッチしていますね。この曲集の中ではこの曲がいちばんしっくりくる印象でした。
利害関係なく無条件の優しさを受け取りたいと考えるのはおこがましいでしょうか?この曲を聴いているときに考えてしまいました。

「大丈夫、そばにいるから」
小さい頃に親に言われたのを思い出しますね。風邪を引いたときにすごく心細かったときにこういうことを言ってもらえるとすごく気持ちが落ち着きますね。あの頃の純粋な心は大人になるうちに失ってしまいましたね。
自分が親になったときに「そばにいるから」と言えるようになるようにしようかな。

心に染みてくる曲ですね。この歳になったからこそわかることかもしれません。

じぶんのための子守歌

油断していると眠たくなってしまいそうですね。すごく心地よいです。自分のために子守歌を歌うという発想は普通の人には考えられません。私は思いつきませんでした。
大きくなると子守歌を歌ってもらったことを忘れてしまうのでしょう。昔親にしてもらったことを思い出すきっかけになればよいでしょう。

第4ステージ:Welcome!三重大学合唱団

三重大学合唱団のステージも大当たりですね。意外と人数少ないのに、少なさを感じさせないほどの重厚な歌声でした。また、機会があれば聴きに行きたいぐらいですが、三重県はさすがに遠いので何かしらの用事が欲しい。まあ、三重大学合唱団目当てでもいいか。

Oculi Ominium(Eric Whitacre作曲)

この人数で3divはなかなか挑戦的です。一人一人がしっかり声を出していて、クラスターの音色も綺麗に聞こえていました。Eric Whitacreというとクラスター和音ですね。短2度と長2度を無理やり重ねるのがこの人の主流ですね。この曲は全然知りませんが、When David HeardとかLux Aeternaとかもクラスターの宝庫ですよね。Whitacreの曲もかなり様になっていました。

I Will Lift Mine Eyes(Jake Runestad作曲)

軽快な感じの中、重厚さもある曲ですね。明るく若い感じが凝縮されていて、三重大学合唱団の個性になっています。聴いているとなんだか穏やかな気持ちになります。嫌なことがあっても忘れられそうです。気分が浄化されるようなものです。

Te luis ante terminum(Levente Gyöngyösi作曲)

静かに始まると思っていたら、あっという間に終わる曲でしたね。さらっとした印象ですね。もう少し重厚な曲で終わらせるのかと思ったら、案外あっさりしていました。まあ、第5ステージにつなげるためにあえてそうしたのでしょうか?ま、知らんけど。

第5ステージ:世界のフォークロア ~ユースワンステージメンバーとともに

ワンステージメンバーとともにESTの演奏会を締めくくります。ノルウェーやフィンランドの民謡を基にした作品、エストニアの第2の国歌と言われる作品、そしてアフリカのリズムをリスペクトした作品で第5ステージは構成されています。ここ10年ぐらい私の偏見ですが、ESTは北欧の歌を歌うというイメージがあります。歌詞見ても正直わかりませんね。

Bruremarsj frå Valsøyfjord(Grete Pedersen・Henning Sommerro編曲)

明るいメロディとともに、これから結婚を祝福しようという情景が思い浮かんできますね。おめでたい雰囲気を感じられますね。アカペラでスキャットですが聴いていると、笑顔で参列者も祝福する光景が浮かんできますね。なんだか心が落ち着きますね。

Kaikki maat, te riemuitkaatte1(Mia Makaroff作曲)

軽快な曲なので、宗教曲というよりはポップスに近いものを感じます。4拍子と3拍子が混在しているのが面白いですね。練習の時に合わせるのは大変そうです。最後インベーダーゲームのような動きをしているように見えましたが、私だけでしょうか?

Läksin Minä Kesäyönä Kaymään(Jussi Chydenius編曲)

少し寂しい曲調が、この曲の良さでしょうね。なんだか懐かしい感じがしました。全く聴いたことがないけど。記憶の奥底にすらないのに、まるで記憶があるかのような錯覚を引き起こしますね。ESTの演奏ってこういう懐かしさを感じさせるような曲をちょこちょこ挟んでくれるので嬉しいです。

Ta lendab mesipuu poole(Peep Sarapik作曲)

エストニアの第2の国歌とも呼ばれる曲です。ソビエト連邦の支配下にある時代だったので、エストニアの国歌自体を歌うことは許されていませんでした。その代わりとして、この曲が合唱祭などで歌われるようになりました。メロディもソビエト社会主義共和国連邦国歌に似ているから禁止されなかったのでしょうか?おそらくそうでしょう。パワフルな曲です。最初ユニゾンで始まりますが、2番からどんどんパワフルになってきます。曲調から共産主義を彷彿させますね。蜂たちが巣に向かって飛ぶ様子を表現していますが、どうしてもメロディに引っ張られます。

BABA YETU(CHristopher Chiyan Tin作曲)

第5ステージの締めにふさわしい曲ですね。ポップス調ですが、壮大さがありますね。合唱曲とポップスのいいとこどりのような感じでしょうか。一体感が素晴らしかったです。

アンコール

2曲ありましたが、1曲目のインドネシア語のは検索しても出てきません。軽快なリズムで思わず手拍子したくなりますが、ここはぐっと我慢。本居長世の「汽車ポッポ」のような印象です。軽快な曲ですね。動きが面白かったです。思わず笑いました。
2曲目は信長貴富作曲の「別れの歌」でしたね。ありきたりな選曲ですが、これがいいのです。普段食べ慣れない料理を食べた後に、家庭料理を食べていつもの感じに戻る感覚ですね。

ヴォーカルアンサンブルEST 第31回演奏会についてまとめ

3年ぶりに来ましたが、最後に来た時と全く変わらないクオリティで楽しめました。津市まで遠路はるばる来てよかったです。来年は2025年11月2日(日)第32回ですが、また聴きに行きたいですね。三宅悠太さんの曲メインになるらしいですが、どんな曲を演奏するのでしょうか?私はそもそも三宅悠太さんの曲自体ほとんど知らないので、ちょこちょこ楽譜を見ていこうと考えています。

この歳になると生きているのかよくわからないと言われがちです。合唱で歌うのから離れていますので、私の存在を忘れられないよう、感想用紙を丁寧に書きます。正直生存報告の意味も兼ねています。私は生きていますという主張ですね。

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